腱炎
腱は筋肉の収縮力を骨に伝えているだけではなく、自らも伸びることでエネルギーをたくわえ、スポーツの動作にも関係しています。ただ、強度には限界があり、アキレス腱のように強靭な太い腱でも、強い力が加われば切れることがあります。
腱に加わる力と腱の長さ(伸び)との関係は数十年前の研究で明らかになっています。これによると、腱が4%程度伸ばされるとコラーゲン線維の一部が断裂し、8%伸ばされると全体的な断裂が起こるこになっています。
スポーツ選手の日常的なトレ一二ングにおいて、腱がどのくらい伸びているかについては、数%から十数%までさまざまな見解があります。明確なことはわかりませんが、トレーニング中にコラーゲン線維の一部が損傷している可能性はあります。
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このようなメカニズムで腱のコラーゲン線維の一部が切れ、それに対する炎症や修復反応が起こっているのが「腱炎」と呼ばれる状熊です。ただ、他の運動器の損傷と異なり、明確な炎症の所見がないことから、「腱炎」よりも「腱症」と呼ぶほうが適切ではないかという意見もあります。
腱の内部に硬いしこりができて動きを妨げる場合には、それを取り除く手術が行われることがあります。それ以外は、積極的な治療方法がありません。
腱断裂
切れた腱の線維が多く、肉眼的に確認できる場合には、「腱部分断裂」という診断名が適切と考えられます。さらに、ある特定の筋肉に連結する腱全体が切れた場合には、腱断裂、あるいは腱完全断裂と呼ばれます。
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腱の断裂は、スパッと切れるのではなく、ほとんどの場合、ロープが切れたときのように、断端がバサバサになっでいます。特に慢性的に腱炎があっだ場合には弱っていた腱が切れるため、広範囲にわたってバサバサした断端になっています。
腱断裂の治療は、縫い寄せる方法と、固定によって癒合させる方法とがあります。最近では、アキレス腱断裂の治療で固定で癒合させる方法が一般的になっています。線維組織の再生は活発なので、腱の断端同士を接触した状態に保つことができれば、癒合は起こります。安静が保ちじくい腱や、細く再生が碓しい部位では、手術で縫い寄せる方法が選択されます。
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腱鞘炎
腱は筋肉の収縮力によって骨を引っ張りますが、その際に周囲の組織との摩擦が生じます。そこで、腱が滑らかに動くように、腱の周囲には滑りを助けるための腱鞘が発達しています。しかし、腱鞘の働きを超えるような摩擦や衝突が繰り返されると、腱鞘に炎症が起こります。腱そのものの炎症である「腱炎」に対し、「腱鞘炎」あるいは「腱周囲炎」と呼ばれるのがこの症状です。
腱鞘炎になると、腱鞘の中の潤滑液(滑液)が炎症性の液体と合わさって増加し、患部が腫れ上がります。また、腱鞘の壁の膜も摩擦によって厚くなり、腱の動きが押さえ込まれたり、引っかかりやすくなったりします。これが腱鞘炎の症状として現れる動きの制限や弾発現象の原因です。
腱鞘炎の状態が長期化すると、腱鞘が厚く硬くなり、腱鞘の隙間から腱に向かう血管が圧迫され、血行が途絶えてしまうことがあります。こうなると腱は血行不良で小さな損傷を修復できなくなり、腱症が悪化していくと考えられます。
腱鞘炎の治療では、腱の周りに抗炎症薬を注入するブロック治療が行われます。慢性化して腱の動きが悪くなっている場合には、腱鞘こ切れ目を入れて広げる腱鞘切開という手術が行われます。
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